好きな本:黄色い本―ジャック・チボーという名の友人
高野文子/2002年
上手い。
絵も、話も、台詞も。空気も。
高野さんの本はまさに私の財産です。
他のもたぶん全部読んだけど、まだ手元に持っているのはこれ一冊。
好きな本の紹介の一冊目は絶対にこれにしようと決めていました。
これは、ある東北の女子高生が、「チボー家の人々」という黄色い表紙の小説を読み進めながら、本の中の主人公と会話をしていく日常を淡々と描いている作品なのですが、チボー家を読んだことあるヒトもないヒトも、高野文子作品を読んだことあるヒトもないヒトも、この上手すぎる世界で大きく深呼吸です。
とはいえ私は、直接話とは関係ないところで、
ルーちゃん(主人公のイトコでまだ小学校1年生ぐらい)がいう、
「明るくなったねえ、夜ンなったねえ」
という台詞がとても印象に残っているのです。
夜は部屋に電気がつくから、暗くなるのではなくて明るくなるのだ、
この言葉が面白い、そして絵が、ガラスに反射して映る部屋の中の主人公とルーちゃん。上手いー。
このガラス映りこみ技法、は確かパピヨンの贈りものでも出てましたが、明るさ暗さを使ったのと、なんといってもこのセリフがいい。
構図一つ一つ丁寧で、すごいなあすごいなあと感心しながらいつの間にか終わっていく漫画。とっても濃ゆくて贅沢です。噛めば噛むほど味が出るのです。
この粘り強い作品への姿勢を、見習わんと。
今のプロジェクトの節目にまた高野作品を一冊買おう。
の前に、とりあえず黄色い本、もっかい読もっと。
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